北大路魯山人との逸話
北大路魯山人主宰の会員制高級料亭「星岡茶寮」にて、鉢の展示即売会が催され、当館初代主人が招待されました。
初代はそこに並ぶ作品を一目で気に入り、その場で二十点以上買い上げたそうです。
当時魯山人といえば、毒舌でも有名な激しい人で敵も多かったようです。しかし、初代主人とは気が合ったのか、
その日より家族ぐるみの付き合いがはじまり、行き来は晩年まで続いたそうです。

そのような経緯もあり、当館には作品だけでなく、いかにも魯山人らしい逸話が残っております。
注文した憶えの無い器が請求書つきで送られてきたり、届いた急須全ての注ぎ口から茶が垂れて使えなかった事もあったそうです。
しかし初代主人は魯山人の事を心底気に入っていたのでしょう、すべて額面どおり支払っていたそうです。
また、当時は魯山人の作品は全てが普段使いであったようで、驚いたことに数年前にも賄いの丼に魯山人の器が混ざっていました。

"魯山人は当館に毎年のように訪れており、予約の連絡も無くふらっと立ち寄ることも多かったようです。
慌てて支度をするこちらの配慮には目もくれず、指定の「梅の間」に入り部屋を見渡し、床の間にある生け花を直したといいます。
また、食材が用意されていないこともあり、板場の者を市場へと連れ出し、仕入れや調理法を細かく指図したそうです。
そのうえ、やり方が気に入らないときは叱り散らしたこともあったそうです。

このように、番頭や板場にとっては時に口うるさい存在でありましたが、
初代主人はそういうやりとりを含めて魯山人との付き合いを望んでいたとのことです。